どうも、メカニックです。
当ブログでは過去3回に渡り株式投資型クラウドファンディングの事業者にインタビューを行なってきています。
そんな中なんと、今回はECF会の期待の星「キャンプファイヤーエンジェルス」にもインタビューさせていただける機会をいただけました。
クラウドファンディングの最大手キャンプファイヤーグループということで注目していた人も多いと思います。
もちろん今回も忖度なしで気になるところをガンガン質問してみましたので、今後投資予定の方は是非一読してくださいませ。
キャンプファイヤーエンジェルスについては下記記事で紹介していますので知らない人はまずはこちらのチェックをお願いします。
インタビューに答えていただいたのは??
今回インタビューに答えたいただいたのは取締役の3人です。
左から順に…
- 出縄良人氏 (代表取締役社長/公認会計士)
- 田中駆氏 (取締役執行役員マーケティング部長)
- 池田好廣氏 (投資銀行事業本部長兼ECF事業部長 )
経歴は下記の通り。
出縄良人氏の経歴
1983年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、太田昭和監査法人(現:新日本有限責任監査法人に入社)。公認会計士として主に株式上場コンサルティング業務に従事。1993年にディー・ブレインを設立し、中小企業向けコンサルティング事業を開始後、1997年には株式公開専業証券会社ディー・ブレイン証券株式会社(現:日本クラウド証券)を創業。日本証券業協会の非上場企業向け市場グリーンシートの株式公開主幹事で9割を超えるシェア。2010年までに141社に対して112億円のエクイティファイナンスを支援。上場引受主幹事業務にも進出し14社を上場。札幌証券取引所アンビシャス及び福岡証券取引所Q-Boardの主幹事シェアは6割。2010年にディー・ブレイン証券の代表取締役を退任。出縄&カンパニーを設立。2015年にDANベンチャーキャピタルを設立。同社は2017年7月に第一種少額電子募集取扱業者として登録。
田中駆氏の経歴
1992年生まれ、神奈川県横浜市出身。横浜市立大学起業戦略コース卒業後、ベネフィットワン、ランサーズ、パラフトにて、セールス・経営企画・DX推進・新規事業企画に従事。一部上場企業からベンチャーまで様々な規模の現場にてHRTech分野での事業開発を経験。2018年に株式会社TOMOSHIBIを創業、代表取締役CEOに就任。2019年4月に株式会社CAMPFIREに事業売却し、同事業部長に就任。その後2020年7月より株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」事業戦略責任者/マーケティング部長に就任。得意分野:事業戦略/経営企画/ブランドデザイン/マーケティング戦略/レガシーUXのDX/HRTech領域
池田好廣
1955年生まれ、徳島県出身。同志社大学法学部卒業。日興証券にてリテール営業の後、IPO候補企業開発の企画・支援。日興アセットマネジメントに移りアナリスト・経営企画部長・人事部長。(株)ジェイホールディングス取締役COO兼IPO担当としてJASDAQ上場。2018年DANベンチャーキャピタル。カスタマーサービス部長として株式投資型クラウドファンディングを通じてのエクイティファイナンス支援。2020年8月より投資銀行事業本部長兼ECF事業部長。得意分野:事業プランニング/資本政策/企業価値分析
キャンプファイヤーエンジェルスは個人にエンジェル投資の機会を提供!!
これまでVCや一部のエンジェル投資家だけが投資できていた未上場スタートアップ企業の株式ですが、金商法が改正されたことで、個人の方でも株式投資型クラウドファンディングを通じ投資いただけるようになりました。
「未上場株への投資は初めてだ」という方でも始めやすいよう、CAMPFIRE Angelsに掲載されている案件はすべて、ファイナンスのプロによって現在の事業内容や今後の成長性等様々な観点から厳正な審査を行っています。
1社あたり10万円から未上場ベンチャー企業の株主になることができ、企業の成長を近くで見守れるだけでなく、将来投資した企業がIPOやM&Aに至った際には大きなリターンが期待できます。
また、「エンジェル税制」の適用対象となる企業への投資を行うと、個人投資家は投資時点、株式売却時点のそれぞれの時点において税金の優遇措置を受けることができるというのも株式投資型クラウドファンディングの魅力です。
取締役3人で事業を牽引
まず、資金調達に挑戦するスタートアップをデューディリジェンスから審査まで一貫してサポートし、そして個人投資家の皆様への業界随一の情報開示を実現するキャピタリスト部門。こちらは証券業界にて数多くの企業のIPO支援を経験し、自身も経営者としてIPOの経験を持つ、取締役の池田が統括しております。
そして「CAMPFIRE Angels」という事業・プロダクトそのもののグロースをミッションとして、事業戦略・マーケティング・プロダクト領域を、私田中が統括しております。
私自身も元スタートアップ起業家であり、プラットフォーム事業の立ち上げやグロースを強みとしております。
マーケティング観点でもSNSは重要なチャネルとして捉えているので、目立って見える(露出が多い)のはそのせいかと思います。
出縄には代表としての経営全般はもちろんのこと、それ以外には資金調達ニーズを持つスタートアップ企業の発掘や特に重要なパートナーシップの獲得等、経験や人脈を活かして自由に活動してもらっています。
エンジェル投資家のすそ野拡大でより多くのスタートアップが挑戦しやすい社会を築く当社の理念への共感・共鳴度は高く、優れた企画力と行動力で、CAMPFIRE Angelsをぐいぐい引っ張っていただいています。
エンジェル投資を普遍化させるべく大きな目標を掲げている当社ですが、目標達成に向け今後も田中の手腕に大いに期待しているところです。
この田中に加え、CAMPFIRE Angelsのシステム開発を担っておりプロダクトマネージャーの石墳、CAMPFIRE Angelsのマーケティング企画を担うマーケターの井形、発行会社の資本戦略やIRを担うキャピタリストの佐藤、プロジェクトページの制作を担うクリエイターの上田など、強い思いで結束する若く力漲るチームメンバーがCAMPFIRE Angelsの高いクオリティを支えています。
これを代表取締役の私と投資銀行本部長の池田、そして管理本部長の貫、企業審査部長の福田など、証券界で長年の経験をもつベテランが支えている体制となっています。
案件は10項目を中心に審査
審査内容について詳しくは取扱要領ページ(https://angels.camp-fire.jp/terms/handling_procedure)に記載しております「主な審査項目、審査の手法の概要」をご確認いただきたく思いますが、発行会社及びその行う事業の実在性、発行会社の財務状況、発行会社の事業計画の妥当性、発行会社の法令遵守状況を含む社会性など10項目を中心に審査を行っています。
審査の手法についてご説明しますと、まず企業等の情報を収集し、反社会的勢力でないこと等を含めてプライマリー・デューディリジェンスを行います。
その中から1次スクリーニングを行い、必要に応じて現地デューディリジェンスを経て、さらに深度のある審査を実施し、成長性の確度を吟味のうえ、審査会議において最終的に決定しています。
株主構成の開示原則は持株上位10名以上の大株主
特に株主構成について知れるのは投資家として非常にありがたいですが、今後も開示していく方針でしょうか?? 既存株主の意向によっては一部株主を非開示にする場合もでてくるのでしょうか??
もちろん、開示された株主構成をどのようにご判断するかは投資家に委ねます。
例えば、経営の安定や責任を重視し経営陣の持ち株比率を重視する方、VCや事業会社の出資及び経営サポートを重視される方、ステージによっては資本と経営を分離したプロの経営者の存在を重視される方、など判断基準は多岐に渡るためです。
当社の株主構成開示基準は、上場企業の有価証券報告書の開示に準じて、持株上位10名以上の大株主を開示することを原則としています
徹底したスクリニーングを実施!!
キャンプファイヤーエンジェルスさんではリスクを排除するためにどのようなスクリーニングを行なっているのでしょうか??
しかしながら、各専門機関の全ての情報を統合した、共通のプラットフォームが存在しないことから、使用する専門機関情報により判断に差異が生まれ、極めて希なケースとは思いますが、反社が紛れ込む可能性はゼロではありません。
なお、万が一反社が紛れ込んでしまった場合ですが、投資家の皆さまに株式お申込みの都度同意をいただいている「反社勢力でないことの確認書」に反することとなり損害賠償請求の原因となるほか、次のご質問の通り、株主間契約の強制買取条項が発動されることになります。
買取請求された場合の価格は??
株主数の多さは経営においてメリットが多い
株主数が多い事がネックになるという意見が多いですがキャンプファイヤーエンジェルスさんではIPOイグジットについてどのようにお考えでしょうか??
株主数の多さは特に問題ないとの認識でしょうか??
もしそうであればなぜそう考えるのか教えていただけますと幸いです。
またECF制度についての理解が進んでいないことから、上場指導を行う証券会社の担当者の中には事業者が反社チェックを法律に基づき行っていることについて十分に認識していないことも考えられます。またVC等の専門家は、M&AでのEXITが円滑に進まなくなる懸念もあり個人株主の増加を好ましく思わないところもあるようです。
そのため当社では、前項にあるように株主間契約に①反社が判明した場合の買取請求、②上場に支障が出る場合の強制買取条項、③M&AによるEXITにおける共同売却請求条項を設け、懸念の払拭に努めています。
一方、当社としては、ECFによる株主の増加は経営においてはむしろメリットも多いものと考えています。
まず、ECFを利用した株主1人当たりのシェアは1%未満であり経営側と対立するリスクが極めて小さいこと。さらに、株主が企業の顧客となって応援してくださったり、顧客や取引先・提携先を紹介してくれたりと、多くのエンジェル株主から事業の発展のための有形無形の応援をいただける可能性が十分にあること。そして、多くの個人株主がいることで、経営に一定の影響力を持つ外部株主にとっては牽制となり、外部株主との対立を未然に防止することもできることなどが考えられます。
私たちとしても、IPOやM&Aを目指す企業へ投資いただける機会を積極的に設けていきたいところですので、CAMPFIRE Anglsでプロジェクトを立ち上げる企業の今後にぜひご注目いただければ嬉しく思います。
出資先のIPOが決まった後の手続き
①新規上場が確定すると、発行会社から株主へ「取扱開始時の口座通知取次請求のための呈示書面」が送付されます。
②株主は、口座を開設する証券会社に以下の書面を提出し、口座通知の取次ぎを依頼します。
・取扱開始時の口座通知取次請求のための呈示書面
・口座通知取次請求依頼書(※口座を開設する証券会社で取得します)
③特定口座に入庫する場合は、あらかじめ特定口座を開設し「取扱開始時の口座通知取次請求のための呈示書面」に特定口座へ入庫と記載します。特定口座へ入庫をご希望の場合は、取得価格が確認できる書面(当社では「約定報告書」)など確認書類の提出が必要です。
(※上場後は特定口座へ入庫する方法がありません。特定口座の入庫手続きは上場前に行ってください。)
以上が完了し、ロックアップなどの規定がなければ、上場当日から売買が可能になります。
セカンダリーマーケットへの参入も準備
非上場株式投資における大きなリスクが流動性リスクです。「売りたいときに売れない」ことにより、投資を躊躇う投資家の方も多くいらっしゃることと想定しております。
まだ明確に時期を申し上げることは控えさせて頂きますが、できるだけ早く、独自のプラットフォームを提供できたらと思っています。
普通株式以外での募集も検討
検討している段階で特に留意しているのが、過度に発行会社側に偏って投資家を軽視した調達手段にならないようにすることです。
特に新株予約権の場合は、投資家は株主総会に参加する権利がなく、発行会社も株主総会の招集通知を発送する法的な義務がないなど、投資家に対する経営者の責任が弱く、コーポレートガバナンスが働きにくい課題もあります。
また、欧米では種類株も証券取引所に上場していますが、日本では種類株の上場はこれまで限定的で、東証においても特に議決権を制限する種類株の上場(種類株を有する会社の普通株の上場を含む)については、極めて慎重な対応がとられています。そこには種類株式の性格について普遍的にな理解が投資家に進んでいないことや、種類株式の設計によっては株主の権利が著しく損なわれるほか、ガバナンスが十分に機能しない可能性があること等が背景にあると考えられます。
このような事情から、株式投資型クラウドファンディングにおいても、種類株式の取扱いには当局から慎重な対応を求められているところです。
株式投資型クラウドファンディングは会社への支援や共感が出資の根底にあるものです。当社としても、株主の権利を一方的に制限するような調達手段を安易に推奨すべきではないと考えており、発行会社として、しっかりとした説明責任を果たせる会社を審査で厳選するとともに、株主によるガバナンスが十分に働き、株主の権利が守られる有価証券であることを確認して取り扱っていく方針です。
キャンプファイヤーには出資できるのか??
キャンプファイヤーエンジェルスから親会社のキャンプファイヤーに出資できる可能性はあるのでしょうか?? (親会社を子会社が審査するということで正当な審査ができないなどの問題はあるかと思いますが、一旦ここではその事は考えずにお答えいただけますと幸いです。)
ECFで調達できる金額は1年間1億円までと制限されており、さらにこれには通算規定があるためECFでの募集開始前1年間の調達額が通算されます。例えば、VCやエンジェルなどから1億円以上の調達を行った会社は1年を経過しないとECFでの調達ができません。CAMPFIREに関して申し上げますと、昨年末に約36億円の資金調達を実施しているためこの制限を受けてしまい、今年1年間はECFでの調達ができないということになります。
このように調達実績が一定規模となったCAMPFIREのような会社ではECFと組み合わせた資金調達は難しい一方で、アーリーステージでのスタートアップ企業の活用が最も相性が良いとも言えます。
なお、IPOを控えた会社に限らず、スタートアップ企業の資金調達の機動性を妨げているこれらの規制の緩和については議論が交わされていますが、まだ道筋は見えていない状況です。
管理人の出資実績
自分はキャンプファイヤーエンジェルスではまだ出資したことがありませんが、前身のGoAngelではマルチブックという企業に25万円を出資しています。
ここはERPシステムを提供しているテック系の会社で、自分の出資先の中でも期待している企業の一つです。
今後はキャンプファイヤーエンジェルスでも気になる案件があったら投資していきたいと思っています。
まとめ
今回はキャンプファイヤーエンジェルスに11の質問をぶつけてみました。
個人的には案件の審査方法や今後の募集方法のアップデート、さらにセカンダリーマーケットへの関心があったのでそのあたりを聞けたのは非常に大きな収穫だったかなと思います。
あとは経営陣のECFに対する思いが聞けたのも良かったです。
キャンプファイヤーへの出資は難しそうなのはちょっと残念ですが規模が規模ですので、しょうがないですね。
ECFを利用するメリットはあまりありませんからこちらは諦めるしかなさそうです。。
キャンプファイヤーエンジェルスでの募集案件を見ると「上場を経験した経営者」がいたり、1号案件のGigiはECF後に大型の資金調達を成功させたりとすでに案件の選定については実績があります。
今後も期待値が高い面白そうな案件を期待したいです。
興味を持った方は10万円からエンジェル投資ができるので是非チャレンジしてみてくださいませ。
上場株にはない新しい投資体験ができるかもしれませんよ。